「PCまくらぎ」の版間の差分
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2015年7月30日 (木) 07:13時点における最新版
PCまくらぎ
prestressed concrete tie , prestressed concrete sleeper
PCまくらぎとは、コンクリート製のまくらぎの一種である。もともとコンクリートは圧縮には強いが引張には弱いコンクリートの特性を生かして、この引っ張りの弱さを補強するためにPC鋼材を使用して、製作時に圧縮力を与えたコンクリートのまくらぎである。
現在の鉄道におけるPCまくらぎの使用率は、木まくらぎや鉄まくらぎなどに比べて最も高い。
PCまくらぎの特徴
PCまくらぎの長所
まくらぎ重量が木まくらぎよりかなり重いので安定性がある。したがって、座屈に対しての抵抗力が大きいので、ロングレール区間において適している。
また、軌道狂いが進行しにくく保守費が節約でき、木まくらぎに比べて腐朽がないので耐用年数が長いなどの特徴がある。そのため導入が難しかった分岐器でも分岐用PCまくらぎが開発されている。
PCまくらぎの短所
木まくらぎに比べて、電気絶縁性が悪く、レール締結装置の設計が難しい。そして、重量が重いので、取扱いが木まくらぎに比べて不便である。
PCまくらぎの開発
西暦 | 年号 | おもな出来事 |
---|---|---|
1926年 | 大正15年 | 民間の考案から、石浜式といわれる鉄筋コンクリートまくらぎの研究として、東海道本線の湊町(みなとまち)駅構内に試験敷設された。その後、名古屋・仙台・大阪でも試験敷設され、昭和7年ごろまで研究が続けられた。いずれも、亀裂の発生・レール締結部の損傷・保守労力の増加などで成果が上がらず昭和10年頃までに撤去された。 |
1951年 | 昭和26年 | 初めてPCまくらぎが試作され、東海道本線の大森から蒲田駅間に36本のPCまくらぎが始めて試験敷設された。 |
1951年 | 昭和26年 | タイプレート付の鉄研式のPCまくらぎを6種類設計して、約7,600本を本線に試験敷設された。いずれも、ロングライン方式で製作するプレテンション方式のPCまくらぎである。 |
1952年 | 昭和27年 | 前年敷設したPCまくらぎを改良して新しい鉄研式が設計された。PC鋼線としてはφ2.7mmの2本のより線を用いて、レール締結装置として、まくらぎの本体に木栓を2個・4個埋込み犬クギまたはねじクギにて締結された。 |
1953年 | 昭和28年 | まくらぎの中央部の下縁の上げ底を廃止して、ゴム・合成ゴム、その他の埋め込み剤を使用してレールを締結する形式のものがいくつも設計・敷設された。 |
1954年 | 昭和29年 | PC鋼線の重心をさらに上にあげた形式を設計した。この形式を国鉄1号PCまくらぎと呼んでいる。現在でも一部の支線区などに敷設されている。 |
1955年 | 昭和30年 | PC鋼線φ5.0mmを使用して、マクラギの両端部付近に特殊PC鋼線の滑り止め装置を施したPCマクラギが設計敷設された。このPCマクラギを国鉄0号PCまくらぎと呼ばれていたが、1回だけの製作で廃止された。 |
1956年 | 昭和31年 | PC鋼棒3/4インチを2本使用してポストテンション方式のPCマクラギを研究所に7本試作した。その後、東海道本線の大森-蒲田駅間に2年間敷設して、破壊試験を実施し、列車荷重の曲げモーメントによるひび割れは生じなかったが、レール締結装置の構造により埋込栓部分から縦方向にひび割れた生じた。 |
1956年 | 昭和31年 | ロングレールが普及されていくなか、PCマクラギは重量が大きく、レール締結装置の締結力が弾性的で強固なものが求められるようになり、国鉄2号PCまくらぎが設計された。 |
1961年 | 昭和36年 | PCまくらぎは更なる変更がなされ、国鉄3号PCまくらぎが設計された。 |
1961年 | 昭和36年 | 東海道新幹線用のPCまくらぎとしてプレテンション方式の3Tおよびポストテンション方式の4Tが設計され、鴨宮モデル線において、各種敷設試験を行った。 |
1962年 | 昭和37年 | 東海道新幹線用のPCまくらぎである、3T形式・4T形式が本格的に量産された。 |
1962年 | 昭和37年 | 在来線において、PCまくらぎの需要が急増したため、急曲線用・中下級線区用・凍上区間用・継目部用・ケーブル横断箇所用・安全ガード敷設箇所用などが順次設計敷設されていった。 |