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2015年9月29日 (火) 09:49時点における最新版
きまくらぎ
wooden sleeper , wooden tie
木まくらぎとは、樹木を所定の寸法に切り出した木製のまくらぎのことである。
目次
木まくらぎの概要
木まくらぎは、日本に初めて鉄道が輸入された創設期から使用されていて、左右のレールの間隔を一定に保つ主要な部材の一つであり、コンクリート製のRCまくらぎ、PCまくらぎに比べて弾性に富み、振動や衝撃を緩和して道床に伝える特性がある。また、レールの締結が簡単で、取り扱いや加工が容易であり電気的な絶縁性も高く、価格も比較的低廉である。
材料による分類
木まくらぎは、樹木を加工しそのまま使用する素材まくらぎと環境配慮型クレオソート油で木まくらぎ防腐処理を施した防腐まくらぎがある。
木まくらぎの欠点
木まくらぎは機械的な損傷を受けやすく、割れ、損傷、腐朽(ふきゅう)などを起こすために、対応年数が短い欠点がある。交換する基準は、木まくらぎ交換基準で決められている。
対応年数が短い欠点を補うものとして、木まくらぎ防腐処理を施すなどして寿命を延伸させる処理が施されるのが一般的である。
木まくらぎの歴史
木まくらぎは、コンクリートまくらぎなどに比べて、弾力に富みレール締結が簡単である。また、取り扱いや加工が容易であり、電気絶縁性も高く価格も低廉である。
しかし、機械的損傷を受けやすく、割れ、焼損もしくは木材腐朽菌による腐朽などを起こすので、耐用寿命が短いという欠点を持っている。このため、木まくらぎ防腐処理を施して寿命延命を図っている。
明治3年4月
鉄道創設の当初から、森林資源の豊富であったわが国では、木まくらぎが大量に使用されてきた。明治3年4月に建設が着手された東京-横浜間の鉄道は、その軌間が3'6"(1,067mm)でまくらぎは7'*9"*4"1/2(210*23*11.5cm)が使用された。その敷設数量は、1マイル(1.6km)あたり平均2,000本であった。
これは、平均800mm間隔で敷設されていた計算なので、現在での約600mm間隔よりやや広いことになる。
明治33年
まくらぎの仕様書が始めて制定されたのは明治33年である。
その後、明治37年にまくらぎの配置員数を規程に取り入れ、明治40年11月に改正がなされている。
この明治40年に制定された規程により、その後、まくらぎの材種、仕様、寸法および配置員数が長く適用されたることとなった仕様書となった。
このときのまくらぎの寸法は、7尺*6.7寸*4.6寸(210*20*14cm)であり、現在の並まくらぎの寸法の原形となった。
また、樹種は次のとおりであった。
第1種
ヒノキ、ヒバ(クサマキ、アテ、アスナロ、アスヒ)、クリマキ、(ヒトツバ)、コウヤマキ、カヤ、クルミ
第2種
シオジ(ヤチダモ)、カラマツ、ネズ、ハリキリ、(鬼セン)、ナラ(但しオオナラ、ミツナラに限る)、カシワ、キロタニレ(アカダモ)、インジュ、イチイ(オンユ) 第2種は特殊の場合、および北海道に限る。
橋まくらぎ
橋まくらぎは、ヒノキ、ヒバに限るが、径間の小さなものはクリを使用してもよい。また、北海道ではシオジ(ヤチダモ)、ニレ(アカダモ)を使用しても良い。
分岐まくらぎ
分岐まくらぎには、ヒノキ、ヒバ、クリに限る。北海道ではシオジ、ニレを使用しても良い。また、防腐処理を施したものは、この規定を適用しなくても良いこととなっていた。
防腐まくらぎ
防腐まくらぎの使用は明治の初めであり、クレオソート注入まくらぎをイギリスより1,000本あまり輸入したのが始まりである。
その後、洋行した杉浦宗三郎氏が明治33年9月にイギリスから防腐処理を施す機械を一式購入して、日本に持ち帰り宇都宮構内に設置したのが国産の始まりとなる。
防腐まくらぎの使用割合は、その後、年を追うごとに増え続け、現在では木まくらぎのすべてを防腐まくらぎとなっている。
近年においては、環境問題を引き起こす可能性のある「クロム、銅、ヒ素化合物系保存剤」が含まれていたことから、クレオソート油も改良が施された。また、それ以外の薬剤でも防腐処理を施すまくらぎも現れた。
今では、加圧用木材防腐剤が広く使用されている。
年代 | 防腐マクラギ普及率! |
---|---|
明治時代 | 10%以内 |
大正時代 | 10~30%以内 |
昭和初期 | 30~50% |
昭和13年以降 | 50~100%以内 |
昭和44年以降 | 100% |
昭和9年4月
昭和4年7月に建設規程が改正された。
線路等級別に荷重、レール重量および道床厚が定められたことから、これらに適用するように昭和9年4月にいたり、まくらぎ配置本数が改正され、独立規程として制定された。
昭和16年6月
農林省では、昭和16年6月にまくらぎ製造のためのまくらぎ規格規程を制定し告示した。これは、その後まもなく戦時規格に変更されたが、戦後、農林物資規格法に基づき、昭和26年9月「枕木の日本農林規格」として再出発した。そして、昭和41年4月に「まくら木の日本農林規格」に改正された。
平成19年8月
平成19年8月に「製材の日本農林規格」として改正され、それまでの「まくら木の日本農林規格」は廃止された。
また、マクラギの細かな仕様は各鉄道事業者で決められている。
木材事情
近年、国内での木材事情はあまりよくない。外材(外国から輸入された木材)に頼らなければならない状況下で、最近では、森林伐採による地球温暖化がささやかれている状況なので、外材も次第に良いまくらぎ用材が少なくなって来ている。
外材産の木まくらぎの研究
外材を使用した木まくらぎの研究は、日本で鉄道が敷設されて間もない大正7年から、国鉄の鉄道技術研究所で外材のまくらぎ用材の研究が行われた。
昭和26年10月に「まくらぎ対策委員会」が設置され外材まくらぎの製品検査の検討を行い、昭和30年、昭和34年、昭和37年の3回にわたり、アメリカ産の「米マツ・米ヒノキ・米ヒバ・米ツガ」そして、南方産である「セランガンバトウ、カプール、アピトン、ジャラマイテン、クルーイン」の各外材を東海道線、総武線、山陽線などの主要な本線において試験敷設された。
昭和44年より「木まくらぎ規格改善に関する研究」が始まった。その中で「市場性を加えた木まくらぎ資源に関する研究」として、旧ソ連産の「ダフリカカラマツ」南方産である「クルーイン・アピトン」がそれぞれ昭和45年と昭和46年に八高線、山陰線に試験敷設された。
上記の試験敷設と同時進行で、外材マクラギの曲げ強さ・圧縮強さなどの機械的性質と腐朽菌による耐朽性と現物による犬クギ引き抜き抵抗力などが測定され、日本産のまくらぎと比較・確認がなされた。
木まくらぎの規格
木まくらぎの規格は、昭和41年4月に「まくらぎの日本農林規格」に改正告示され現在に至っている。
木まくらぎの規格は、この農林規格を前提として定められている。
木まくらぎの寸法
まくらぎの種類 | 厚さ | 幅 | 長さ |
---|---|---|---|
並まくらぎ(在来専用) | 140 | 200 | 2100 |
並まくらぎ(新幹線用) | 150 | 240、350 | 2600 |
継目まくらぎ(在来線用) | 140 | 300 | 2100 |
分岐まくらぎ(在来線用) | 140 | 230 | 2200 イ、2500 ハ、2800 ホ、3100 ト、3400 リ、3700 ル、4000 ワ |
分岐まくらぎ(新幹線用) | 150 | 240 | 2700、3000、3300、3600、3900、4200、4500、4800 |
橋まくらぎ(在来線用) | 180 | 200 | 2100、2400、2700 |
橋まくらぎ(在来線用) | 200 | 200 | 2100、2400、2700、3000 |
橋まくらぎ(在来線用) | 230 | 200 | 2400、2700、3000 |
橋まくらぎ(新幹線用) | 200、250 | 240 | 2600、3000 |